11/12 商工会が主催する木材加工技術の講習会に参加しました。
講習のタイトルは「木材の圧縮加工による商品化」。
講師は 岐阜大学応用生物科学部 棚橋光彦 教授。
商工会から来た案内チラシの「3次元深絞り加工」というのが気になって即参加申込みしました。
「深絞り加工」、これは金属加工の分野でよく使われる専門用語です。
「絞り加工」とは、「ぞうきんを絞る」のイメージとは程遠く
薄い鉄板を穴の開いたブロックの上に乗せ、その穴より約板厚分小さい(全周だから、例えば
円形だと直径が、板厚×2 小さい)押し型で押し金属を成型する加工のことです。
穴と押し型がほぼ同じ寸法だと(若干押し型が小さい、板厚によってその量は変わる)
金属に穴が開きます。
穴と押し型の寸法は、厳密に言うと材料や成型する深さで 板厚×2 とはならないのですが・・・
コップ状に深く成型するので、深絞りと言います。
身近なものでは、アルミ缶が深絞り加工の典型でしょう。
今回の講習は驚きの連続でした。
普通、木は曲げると曲げた外側で折れてしまいます。
折れない様に木を高温で蒸して添え板をしながら木を曲げるのが、曲げ木という技術で飛騨の家具
メーカーが得意とする加工法です。これは既に確立された技術ではありますが、水を吸ったりすると
元に戻ろうとします。つまり、完全に形が固定化されていません。
ところが、さらなる高温・高圧下で成型すると、形が固定化されると言うのです。
丸太をその条件下で成型すると四角にできるのです。

5本の丸太を高圧水蒸気処理で圧縮成型した杉材(講師の先生の許可を頂きました)
この状態だと、木が動かず狂いが生じない(柱材の背割りなど無用 繊維の形状記憶)。
おまけに高圧圧縮されているので表面の硬さも軟鋼(鉄でも柔らかい部類)並みまで上がる。
高圧水蒸気を掛けるさい、精油成分の抽出もできます。従来の技術では抽出不可能であった
物質まで抽出可能とか。
木は水分を吸ったり吐き出したりし伸縮します。水分を溜め込むスペース(空隙)がある訳です。
ところが、その溜め込むスペースを完全に潰してしまい、おまけに元に戻らないようにしてしまう。
型によって色んな形状に加工が可能です。
そして、やや温度の条件を変え(固定化されない温度)、圧縮した素材を薄くスライスすると、
ゴムの板の様に曲がる素材が出来ます。
それを積層し、型で絞ることで これが出来るのです (3次元深絞り加工)。
(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090925-00000020-zdn_n-sci)
他には、スピーカーのコーンでかなり実用化が進んでいる。
この素材となる木は、早成材つまり桐など成長の早い材料に向くとか(竹でも可能だそうです)。
成長の早い材料ほど内部の空隙が多いので、圧縮率の高い材料ができます。
圧縮率が高いと曲げに強い材料になります。
このことは、大気中の CO2 を早いサイクルで木に閉じ込めることができるので
現在の化石燃料から作るプラスチックの様に、消費することで CO2 の排出量が限りなく増える
のではなく、循環して行くため排出量の大幅な削減が見込めます。
明らかに時代の流れとして、木がプラスチックに取って代わる時代が来るということでは
ないでしょうか。
ちなみに、高圧圧縮下で木材の難燃化も可能とのこと。
これから10~20年で大きく生産技術・製造技術も変わるな と思いました。
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