九州から届いた箪笥 (2010,5,18 の記事)、大きなキズや板の縮み、そして金具の腐食が目に付きました。
修理箇所を洗いだす中で、天板、側板の前面は長く切り取って、新たに取った幅の材料を接ぐことに決めました。
しかし、接ぐには板の状態が作業はし易いのです。
詳しく見てゆくと、分解できそうです。上手く作ってあります。
思い切ってバラバラに分解しました(ここはあえて、写真は撮りませんでした)
使えるもの、使えないものがでてきますが、おそらく作られてから80年から100年は経過しているので仕方がないです。
板の接ぎ合わせが出来たところで、順番に組み立てます。
正面の板の縁に真直ぐな線がつながりました(角が綺麗に立ちました)。
中の板もほとんど新しい板に張りなおしました。ここで注意しなくてはいけないのが、おそらく常に空調の効いた部屋で
使われること。十分に乾いた板を選び、尚且つ、板が縮んでも良い様に取り付けます。
張り直された内部の板。そして、側面の板の木目が良いです。材料は杉の様です。
おそらく屋久杉とは行かないでしょうが、それに近い天然の良質の材料だと思います。
抽斗の鏡板(正面の板)は桐で、全て軽く鉋を掛け新しい面を作りました。
塗装を行い、新しい金具を取り付け修理完了。
5/23 お客さま(以下 Eさんとお呼びします)の元へ、お届けにあがりました。
「届くのが本当に楽しみでした。実は、30年振りの再会なんです。」とEさん。
独身の時、身の回りの整理を行うのにちょうど良い大きさだったそうですが、結婚を期にご実家に眠ったままになった
そうです。
金具に付けたものは、い草ロープです。車で移送中金具がゆれてキズが付かない様に配慮しています。
以外とさまになっています。
実は、修理にあたり「ここは再現できない、しかし残さないといけない」と思った場所があります。
飾り金具がたくさん付いた扉です。
案の定、同じサイズの金具はありませんでした。
ここは、おじいさまを感じる顔だったに違いありません。
「再現できないなら、残さねば・・・」
余っていた材料を使い額装しました。
これで昔の様に、おじいさまを感じていただけます。
Eさんには、たいへん喜んでいただけました。
ありがとうございました Eさん。
直った箪笥を見られた時の嬉しそうなお顔、忘れませんよ。
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